ベトナム旅行を計画している皆さん、現地での支払いはどうしようかと悩んでいませんか?「日本で使っている電子マネーアプリ、LINE PayやPayPayはベトナムでも使えるのかな?」そう思っている方も多いでしょう。この記事では、ベトナムにおける電子マネーの普及状況から、日本のアプリが実際に使えるのか、そして現地でスムーズに支払いをするための具体的な方法まで、詳しく解説していきます。現金と電子マネー、クレジットカードの使い分けや、いざという時の対策まで網羅しているので、これを読めばあなたのベトナム旅行がより快適になること間違いなしです。
【この記事で分かること】
- ベトナムでの電子マネー普及状況と日本のアプリの利用可否
- LINE PayやPayPayがベトナムで使える店舗と使えない店舗の特徴
- ベトナムのローカル電子マネー事情とQR決済の活用方法
- ベトナム旅行で安心・安全に支払いをするための準備と対策
ベトナム旅行で電子マネーを使うメリットと注意点
ベトナム旅行を快適にするためには、現地での支払い方法を理解しておくことが非常に重要です。近年、キャッシュレス化が進むベトナムでも、電子マネーの利用は旅行者にとって大きなメリットをもたらします。しかし、一方で注意すべき点も存在します。ここでは、電子マネーを利用する際の利便性と、知っておくべきリスクについて解説します。
ベトナムでは電子マネーがどれくらい普及しているのか?
近年、ベトナムでは電子マネーの普及が急速に進んでいます。特に都市部においては、若者を中心にキャッシュレス決済が日常に浸透しつつあります。背景には、スマートフォンの普及率の高さや、政府によるキャッシュレス推進政策があります。以前は現金が主流でしたが、今ではコンビニエンスストア、スーパーマーケット、大手飲食店チェーンなどでは電子マネーでの支払いが一般的になりつつあります。しかし、露店や個人経営の小規模な飲食店、地方の商店などでは、まだまだ現金払いが主流であるのが現状です。市場や屋台では現金が必須となる場面も多いため、電子マネーだけに頼り切るのは得策ではありません。観光客が多いエリアや、チェーン展開している店舗であれば電子マネーが使える可能性は高まりますが、ローカルな体験を楽しみたい場合は現金も手元に用意しておく必要があります。例えば、ハノイ旧市街の屋台やホーチミン市内のベンタイン市場などでは、ほとんどの支払いが現金です。そのため、ベトナム旅行では電子マネーと現金を状況に応じて使い分けることが、スマートな支払いには不可欠と言えるでしょう。
日本の電子マネー(PayPay・LINE Pay)はそのまま使える?
残念ながら、日本の主要な電子マネーアプリであるPayPayやLINE Payは、ベトナムでは基本的にそのまま使用できません。これらのサービスは、日本国内の決済システムに特化しており、海外の店舗とは直接連携していないためです。PayPayやLINE PayのようなQRコード決済サービスは、それぞれの国や地域で独自の決済ネットワークを構築していることが多く、国際的な相互運用性はまだ低いのが現状です。例えば、PayPayはソフトバンクグループとヤフーが共同出資するPayPay株式会社が提供しており、日本国内の加盟店でのみ利用可能です。LINE Payも同様に、LINEが提供する日本向けの決済サービスとして展開されています。一部の国際的な提携サービスを除き、これらのアプリが海外でそのまま使えるケースは稀です。
過去には、LINE Payが台湾やタイなど一部の国で利用できる提携サービスを提供していた時期もありましたが、ベトナムにおいてはそのような提携は現状ありません。したがって、「日本で普段使っているPayPayやLINE Payをベトナムで使う」という期待は一旦手放し、現地で利用できる他の支払い方法を検討する必要があります。ただし、後述するように、LINE Payについては特定の条件下で利用できる可能性もゼロではありませんが、それは直接的な電子マネー決済とは異なる仕組みになります。
実際に使える店舗と使えない店舗の特徴とは?
ベトナムで電子マネーが使えるかどうかは、店舗の規模や業種、立地によって大きく異なります。
【電子マネーが使える可能性が高い店舗】
- 大手チェーンのコンビニエンスストア: FamilyMart, Circle K, VinMartなど。
- 大手スーパーマーケット: Big C, Lotte Mart, Aeon Mallなど。
- 有名レストランやカフェ: Starbucks, Highlands Coffee, The Coffee Houseなどのチェーン店。
- ホテルやデパート: 特に外国人観光客が多く利用する高級ホテルや大型ショッピングモール。
- 一部のタクシーや配車アプリ: Grab(グラブ)などの配車サービスではアプリ内でクレジットカードや電子マネーを登録して支払いが可能です。
これらの店舗では、POSシステムが整備されており、QRコード決済やクレジットカード決済に対応していることが多いです。店舗の入り口やレジ付近に、対応している決済サービスのロゴマーク(例:Visa, Mastercard, QRコード決済サービスのロゴ)が掲示されているかを確認すると良いでしょう。
【電子マネーが使えない可能性が高い店舗】
- ローカルな屋台や露店: 食事の屋台、路上で売られている商品、地元の市場など。これらの場所では現金払いが一般的です。
- 小規模な個人経営の飲食店や商店: チェーン店ではない、昔ながらの小さな食堂やお土産物屋さんなどでは、現金の受け渡しが主流です。
- 地方の小さな町や村: 都市部に比べてキャッシュレス化が進んでいないため、現金が必須となる場面が多いです。
- 交通機関の一部: ローカルバスや一部のバイクタクシーなどでは現金払いのみの場合があります。
ベトナムでは「現金が王様」という考え方が根強く残っている場所も多いため、特に観光客が訪れるようなローカルな場所では、少額の買い物でも現金が必要となるケースが頻繁に発生します。そのため、電子マネーだけでなく、常にVND(ベトナムドン)の現金をある程度持ち歩くことを強くおすすめします。
QR決済は通用する?ベトナムのローカル電子マネー事情
ベトナムでは、QRコード決済が急速に普及しており、特に若年層を中心に日常的に利用されています。しかし、日本のようにPayPayやLINE Payが広く使われているのとは異なり、ベトナム独自のQRコード決済サービスが主流です。
【ベトナムで主要なQRコード決済サービス】
- Momo(モモ): ベトナムで最も利用されている電子ウォレットアプリの一つです。送金、オンラインショッピング、公共料金の支払い、店舗でのQRコード決済など、多岐にわたるサービスを提供しています。銀行口座と連携してチャージし、QRコードを読み取るか、自分のQRコードを提示して支払います。
- ZaloPay(ザロペイ): ベトナムで人気のメッセージアプリ「Zalo」と連携した電子ウォレットです。Zaloのユーザーベースが非常に大きいため、多くの人に利用されています。Momoと同様に、QRコード決済、送金、公共料金の支払いなどが可能です。
- ViettelPay(ヴィエッテルペイ): ベトナム最大の通信会社Viettelが提供する電子ウォレットです。特に地方での利用者が多く、銀行口座を持たない人でも利用できるのが特徴です。
- ShopeePay(ショッピーペイ): 東南アジアで人気のEコマースプラットフォーム「Shopee」が提供する電子ウォレットです。オンラインショッピングだけでなく、実店舗でのQRコード決済も可能です。
これらのローカル電子マネーは、ベトナムの銀行口座との連携が必須であったり、ベトナムの携帯電話番号が必要だったりするため、短期滞在の日本人旅行者が手軽に利用するのは難しいのが実情です。アカウント作成の際に、ベトナム国内の身分証明書や銀行口座情報が求められることが多いため、旅行者向けのサービスとは言えません。
ただし、Grabなどの配車アプリでは、アプリ内でクレジットカードを登録することで、これらのQRコード決済と連携して間接的に利用できる場合があります。例えば、Grabのウォレットにクレジットカードからチャージし、そのウォレット残高でGrabのサービス(配車、フードデリバリーなど)の支払いをするといった形です。直接的なQRコード決済とは異なりますが、間接的にキャッシュレスで支払いができる手段として考慮できます。
結論として、ベトナムのローカルQRコード決済サービスを旅行者が直接利用するのはハードルが高いですが、現地の電子マネー事情を理解しておくことは、ベトナムでの支払いをよりスムーズにする上で役立ちます。
ベトナム旅行での電子マネーとクレカの違いを比較
ベトナム旅行での支払い方法として、電子マネー(一部利用可能なものや間接的な方法を含む)とクレジットカードはどちらもキャッシュレス決済の選択肢となりますが、それぞれに異なる特徴とメリット・デメリットがあります。ここでは、両者を比較し、どのような場面でどちらを利用するのが最適かを解説します。
項目 | 電子マネー(Grab Payなど) | クレジットカード |
手軽さ | アプリがあればスマートフォン一つで完結。 | カードを提示するだけ。署名やPIN入力が必要な場合も。 |
普及率 | 大都市のチェーン店、配車アプリなど限定的。 | 中規模以上の店舗、ホテル、レストランで広く利用可能。 |
安全性 | スマートフォン紛失・盗難時はリスクあり。 | カード番号を盗まれるリスク、不正利用時の補償あり。 |
利用場所 | Grabなどのアプリ内決済、提携している一部店舗。 | 大型の小売店、ホテル、高級レストラン、ATMでのキャッシング。 |
為替レート | 決済時のレートが適用されることが多い。 | カード会社の設定レートが適用される。 |
手数料 | 両替手数料や海外事務手数料が発生する場合がある。 | 海外事務手数料(通常1.6%~2.2%程度)が必ず発生。 |
紛失・盗難 | アプリのロック、アカウント停止などで対応。 | カード会社への連絡で利用停止、再発行。 |
利用明細 | アプリ内で履歴を確認しやすい。 | 利用明細書やWebサイトで確認。 |
ポイント還元 | アプリ独自のポイントが付与される場合がある。 | カード会社のポイントやマイルが貯まる。 |
電子マネー(主にGrab Payなど)のメリットは、スマートフォン一つで手軽に支払いが完結することです。Grabなどの配車アプリを利用する際には、アプリ内で事前にチャージしておくことで、降車時の煩わしい現金でのやり取りを避けることができます。また、少額の買い物やチップの支払いなど、サッと済ませたい場面で便利です。しかし、利用できる場所は限られており、セキュリティ面ではスマートフォンの紛失・盗難時のリスクも考慮する必要があります。
一方、クレジットカードのメリットは、電子マネーよりも遥かに多くの場所で利用できる点です。大型のスーパーマーケット、ホテル、デパート、免税店、有名レストランなど、観光客が利用する主要な場所ではほとんどクレジットカードが利用可能です。また、不正利用に対する補償制度が充実しているため、高額な買い物をする際にも安心感があります。ATMでのキャッシング(現地通貨の引き出し)も可能なので、急に現金が必要になった場合でも対応できます。デメリットとしては、海外事務手数料が必ず発生することや、スキミングなどのリスクが挙げられます。複数のクレジットカードを持参し、利用するカードを分散させるなどの対策も有効です。
結論として、ベトナム旅行ではクレジットカードをメインの支払い方法とし、少額の買い物や屋台などでは現地通貨の現金、そしてGrabなどの配車サービスを利用する際には**アプリ内の電子マネー(クレジットカードからのチャージ)**を使い分けるのが最も賢い方法と言えるでしょう。
オフラインでも使える?現地で通信できないときの対策
ベトナム旅行中にインターネット環境が不安定になったり、まったく使えなくなったりする状況は十分に考えられます。スマートフォンのテザリングやWi-Fiルーター、SIMカードを利用している場合でも、場所によっては電波が届きにくいエリアや、バッテリー切れで通信が途絶える可能性もあります。そのような「オフライン」の状態になったとき、電子マネーが使えるのかどうかは重要な問題です。
結論から言うと、ほとんどの電子マネーはインターネット接続が必須です。
PayPayやLINE Payといった日本の電子マネーはもちろん、MomoやZaloPayといったベトナムのローカル電子マネーも、決済時にサーバーと通信して認証を行うため、オフラインでは利用できません。クレジットカードも同様で、決済端末がオンラインでカード情報を照会するため、通信環境がないと決済が完了しないことがほとんどです。
では、現地で通信できないとき、どのように支払いをすれば良いのでしょうか?
【現地で通信できないときの対策】
- 現金を持ち歩く: これが最も確実で重要な対策です。常にベトナムドン(VND)の現金をある程度手元に持っておきましょう。特に、屋台や小規模な商店、交通機関の一部など、現金しか使えない場所はまだまだ多く存在します。
- オフライン決済が可能なカードを用意する(ごく一部): 世界的に見ても数は少ないですが、一部のプリペイドカードやデビットカード、またはクレジットカードの中には、特定の条件下でオフライン決済が可能なものも存在します。しかし、これは非常に稀で、ベトナムで一般的に利用できるかは不確実です。過度に期待せず、あくまでサブの選択肢として認識しましょう。
- 事前に交通系ICカードなどを用意する(一部都市): ベトナムのホーチミンやハノイでは、まだ日本のSuicaやPasmoのような広範囲で使える交通系ICカードは一般的ではありません。しかし、特定の路線や特定の交通機関で利用できる独自のカードがある場合もあります。事前に調べて必要であれば入手を検討しましょう。
- 海外対応のSIMカードやeSIM、Wi-Fiルーターを準備する: 通信環境を安定させるための基本的な対策です。空港などで現地のSIMカードを購入するか、日本でeSIMを契約、またはWi-Fiルーターをレンタルしておきましょう。これにより、安定したインターネット環境を確保し、電子マネーやクレジットカードの利用をスムーズにできます。
- SIMカード: 現地の通信会社の電波を利用するため、比較的安定した通信が期待できます。
- eSIM: 物理的なSIMカードの入れ替えが不要で、事前に購入・設定できるため手軽です。
- Wi-Fiルーター: 複数のデバイスでインターネットを共有したい場合に便利です。
ベトナムでは、都市部でも電波が不安定な場所や、Wi-Fi環境が整っていない店舗も存在します。そのため、通信が途絶えても困らないよう、現金は常に携帯し、支払い方法のバックアップを用意しておくことが賢明です。
支払いトラブルを防ぐために知っておくべきこと
海外旅行での支払いトラブルは、せっかくの旅行気分を台無しにしてしまう可能性があります。ベトナム旅行で電子マネーやクレジットカードを利用する際に、トラブルを未然に防ぎ、もし発生してしまった場合でも冷静に対処できるよう、以下の点に注意しましょう。
1. 両替は計画的に、適切な場所で
電子マネーやクレジットカードが使えない場合に備え、現金は必ず必要です。両替は空港、銀行、または信頼できる両替所で行いましょう。街中のレートが良いとされる両替所でも、計算ミスやごまかしがないか、目の前で数を確認することが重要です。特に、高額紙幣(50万ドン札など)を受け取った場合は、偽札でないか透かしを確認するなど注意が必要です。
参照元:外務省海外安全ホームページ「ベトナム安全対策基礎データ」(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_003.html)
2. 少額紙幣を用意する
ベトナムでは、お釣りがないことを理由に支払いを拒否されたり、無理やり高額商品を買わされたりするケースがあります。特にタクシーや屋台、小規模な商店では、1万ドン、2万ドンといった少額紙幣が重宝されます。両替する際は、意識的に少額紙幣を混ぜてもらうように依頼するか、大きな買い物で崩しておきましょう。
3. 暗証番号(PIN)を記憶しておく
クレジットカードやデビットカードを利用する際、日本ではサインで済む場合でも、海外では暗証番号の入力が求められることが多々あります。ご自身のカードの暗証番号を確実に覚えておきましょう。万が一忘れてしまった場合は、カード会社に問い合わせる必要があります。
4. カード情報を盗まれないように注意
スキミングやカード情報の不正取得には常に警戒が必要です。
- 目の届く範囲でカードを操作してもらう: 店員にカードを渡したら、目を離さず、目の前で決済を完了してもらいましょう。
- ATMの利用に注意: 不審な装置が取り付けられていないか、周囲に不審な人物がいないか確認してから利用しましょう。
- 公共のWi-Fi利用時は注意: 不特定多数が利用する無料Wi-Fiはセキュリティが脆弱な場合があります。重要な情報の入力は避け、VPNサービスを利用するなどの対策も有効です。
5. 利用履歴をこまめに確認する
電子マネーアプリの利用履歴や、クレジットカードのWeb明細などを定期的に確認し、身に覚えのない請求がないかチェックしましょう。不正利用を早期に発見することで、被害を最小限に抑えられます。
6. 緊急連絡先を控えておく
クレジットカード会社や日本の電子マネーサポートデスクの連絡先(海外からの電話番号)を、手帳やスマートフォンのメモなどに控えておきましょう。万が一、カードの紛失・盗難、不正利用などのトラブルが発生した際に、迅速に利用停止手続きができます。
これらの対策を講じることで、ベトナムでの支払いをより安全かつスムーズに行い、旅行のトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。
日本人旅行者におすすめの支払い方法と準備リスト
ベトナム旅行で快適かつ安全に過ごすためには、どのような支払い方法を選び、どのような準備をしておくべきかを知っておくことが非常に重要です。ここでは、日本人旅行者におすすめの支払い方法とその理由、そして出発前に用意しておきたいリストをご紹介します。
現地で役立つおすすめの電子マネーアプリはどれ?
残念ながら、日本のPayPayやLINE Payといった電子マネーアプリは、ベトナムの一般的な店舗では直接利用できません。しかし、ベトナムで間接的にキャッシュレス決済を可能にする、旅行者にとっても役立つアプリがいくつか存在します。
1. Grab(グラブ)
- 概要: Grabは東南アジアで広く利用されている配車サービスアプリですが、フードデリバリーやデリバリーサービス、そしてアプリ内決済の「Grab Pay」も提供しています。
- おすすめポイント:
- 移動の支払いがスムーズ: タクシーやバイクタクシーの支払いをアプリ内で完結できるため、現金でのやり取りや料金交渉の煩わしさがありません。クレジットカードを登録しておけば、自動的に決済されます。
- フードデリバリーも利用可能: レストランに行かなくても、ホテルの部屋から食事を注文し、キャッシュレスで支払うことができます。
- 一部店舗での利用: Grab PayのQRコードに対応している一部の小売店や飲食店で利用できる場合があります。
- 注意点: 利用にはインターネット接続が必須です。また、クレジットカードを登録する場合、カード情報の管理には十分注意が必要です。
2. Visa/Mastercard対応の非接触決済(タッチ決済)
- 概要: 近年、ベトナムでもVisaやMastercardのタッチ決済(Visaタッチ、Mastercardコンタクトレス)に対応している店舗が増えてきています。これはスマートフォンに登録したクレジットカード情報を利用して決済を行う方法です。
- おすすめポイント:
- スピーディーな決済: カードを端末にかざすだけで支払いが完了するため、非常にスムーズです。
- セキュリティの高さ: カード情報を直接提示しないため、スキミングのリスクが低減されます。
- 利用可能店舗の増加: 特に大手スーパーマーケット、コンビニエンスストア、カフェチェーンなどで対応が進んでいます。
- 注意点: 対応しているのは一部の店舗に限られます。また、スマートフォンにNFC機能(近距離無線通信)が搭載されている必要があります。
3. クレジットカード会社のアプリ(利用明細確認用)
- 概要: お手持ちのクレジットカード会社の公式アプリをスマートフォンに入れておくと便利です。
- おすすめポイント:
- リアルタイムで利用明細を確認: 不正利用がないか、支払い状況をすぐにチェックできます。
- 利用停止手続き: 万が一カードを紛失・盗難した場合でも、アプリから緊急連絡先にアクセスし、迅速に利用停止手続きを行えます。
- 注意点: 直接決済に使うものではありませんが、安全な旅行のためには必須のツールです。
これらのアプリは、ベトナムで直接的な日本の電子マネー決済はできないものの、キャッシュレスでスマートに支払いを済ませるための強力な味方となります。特にGrabは、ベトナムでの移動や食事の際に非常に重宝するため、渡航前にダウンロードして設定しておくことを強くお勧めします。
LINE PayやPayPayで支払えた実際の体験談
「日本のLINE PayやPayPayはベトナムで使えない」と説明してきましたが、実は間接的に、あるいは特定の状況下でこれらのサービスが役立ったという体験談も一部存在します。ただし、これは非常に限定的なケースであり、一般的に利用できるとは考えない方が良いでしょう。
1. LINE Payの「海外送金」や「Wise(旧TransferWise)」との連携
一部のLINE Payユーザーは、LINE Payのサービスを通じて海外送金を行うことで、ベトナムにいる友人や家族に資金を送るという形で間接的に利用したケースがあります。これは直接店舗で支払う「電子マネー決済」とは異なります。例えば、日本にいる人がLINE PayからWise(旧TransferWise)などの国際送金サービスを通じてベトナムの銀行口座に送金し、それを受け取った現地の方が現金を引き出す、あるいは自分の電子マネーで支払う、といった形です。しかし、これは旅行者が短期滞在中に利用する支払い方法としては現実的ではありません。あくまで、遠隔地への送金手段としての話です。
2. PayPayの「PayPayマネーライト」利用の可能性(非常に限定的)
PayPayは原則として日本国内でのみ利用可能ですが、ごく稀に、日本のクレジットカードと連携させたPayPayのQRコード決済サービスが、国際ブランドのクレジットカード決済として認識され、海外の特定の店舗で偶然利用できたという都市伝説のような話を聞くことがあります。これは、店舗側の決済端末がたまたまPayPayのQRコードを「Visa」や「Mastercard」といった国際ブランドのQRコード決済として認識し、処理できたというイレギュラーなケースです。
しかし、これはPayPayが海外での利用を公式にサポートしているわけではなく、再現性が極めて低いため、これを期待してベトナムに行くのは非常に危険です。ほとんどの店舗では「このQRコードは読めません」と表示され、利用できないでしょう。
3. 友人・知人との個人間送金・立て替え
これは電子マネーの直接利用ではありませんが、もしベトナムに知り合いがいる場合、日本の電子マネーアプリ(LINE Payなど)でその知り合いに送金し、その方から現金を受け取る、あるいは代わりに支払ってもらうという方法はありえます。これも直接的な店舗での決済とは異なりますが、緊急時の資金調達手段として頭の片隅に入れておくのは良いかもしれません。
これらの体験談は、日本の電子マネーがベトナムで「直接的に」使えるわけではないという現実を改めて示しています。旅行者としてベトナムを訪れる際は、日本の電子マネーアプリに頼らず、クレジットカードと現金、そしてGrabのような現地で一般的なアプリをメインの支払い手段として準備することが、最も賢明で確実な方法です。
両替の必要性は?電子マネーだけでは危ない理由
「電子マネーやクレジットカードがあれば、両替はほとんどしなくていいのでは?」そう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ベトナム旅行では両替の必要性は高く、電子マネーやクレジットカードだけでは危険な場面に遭遇する可能性が高いです。
【電子マネーだけでは危ない理由】
- 普及率の限界:前述の通り、ベトナムの電子マネー普及は急速に進んでいますが、それは主に都市部のチェーン店や大手施設に限られます。旅行者が本当にベトナムの文化や日常を体験したい場合、ローカルな屋台、市場、個人経営の小規模店舗、地方の交通機関などでは、ほとんどの場合で現金しか受け付けてくれません。例えば、美味しいストリートフードを食べたい、地元の市場で買い物をしたい、バイクタクシーに乗りたいといった場合、現金がなければ何もできません。
- 通信環境への依存:電子マネーやクレジットカードの利用は、基本的にインターネット接続が必須です。ベトナムでは都市部でも電波が不安定な場所があったり、無料Wi-Fiが利用できない店舗も少なくありません。通信障害やスマートフォンのバッテリー切れなど、予期せぬトラブルで通信ができなくなった場合、電子マネーでは一切支払いができなくなってしまいます。
- 万が一のトラブルへの備え:クレジットカードの磁気不良、決済端末の故障、カードの紛失・盗難など、電子決済手段には常に予期せぬトラブルのリスクが伴います。そのような場合、現金を持っていなければ身動きが取れなくなってしまいます。特に海外でのトラブルは言葉の壁もあり、精神的な負担も大きいため、複数の支払い手段を用意しておくことが重要です。
- 少額決済の不便さ:ベトナムでは、数十円~数百円程度の少額決済が頻繁に発生します。例えば、冷たい飲み物を買う、ちょっとしたお菓子を買う、チップを渡すなどです。このような少額決済の場合、クレジットカードは手数料の面で不利になることが多く、電子マネーも対応していない場合がほとんどです。現金であればスムーズに支払いができます。
【具体的な両替の必要性】
- タクシーやGrab以外の交通手段: ローカルバスや一部のバイクタクシーは現金払いのみの場合が多いです。
- 市場や屋台での食事・買い物: ベトナムの食文化を堪能するには屋台巡りが欠かせませんが、ほとんどが現金決済です。
- 小規模なお土産物屋やカフェ: 観光地でも、チェーン店ではない個人経営のお店では現金のみのケースが多いです。
- チップ: ホテルやレストランでチップを渡す際も現金が一般的です。
これらの理由から、ベトナム旅行では必ずある程度の現金を両替して持ち歩くことが推奨されます。特に、旅行の序盤で空港や信頼できる両替所で、ある程度のまとまった現金を両替しておくのが安心です。多額の現金を一度に持ち歩くのはリスクがあるため、分散して保管し、必要な時に必要なだけ持ち出すように工夫しましょう。
SIMカード・Wi-Fi環境が支払い成功のカギになる
ベトナム旅行中に電子マネーやクレジットカードでの支払いをスムーズに行うためには、安定したインターネット環境の確保が最も重要なカギとなります。 「SIMカード」や「Wi-Fi環境」は、単なる通信手段ではなく、現地での支払いを成功させるための生命線と言っても過言ではありません。
【なぜSIMカード・Wi-Fi環境が重要なのか?】
- 電子マネー決済の必須条件:Grab Payやベトナムのローカル電子マネー(Momo、ZaloPayなど)は、決済時に必ずオンラインでの認証が必要です。インターネットに接続されていないと、アプリが起動しても決済処理が進まず、支払いエラーとなってしまいます。
- クレジットカード決済の安定化:クレジットカード決済も、店舗の決済端末がオンラインでカード情報を照会するため、安定したインターネット環境が必要です。特に近年増えている非接触決済(タッチ決済)も、スマートフォンに登録したカード情報がオンラインで認証されることで完了します。
- 為替レートの確認やトラブル時の情報収集:現地の為替レートをリアルタイムで確認したり、支払い時に不明な点があった場合にすぐに調べたりする際にもインターネットが必要です。また、万が一支払いトラブルが発生した場合でも、インターネットがあればすぐにクレジットカード会社に連絡したり、対処法を検索したりすることができます。
- 地図アプリや翻訳アプリの活用:支払いとは直接関係ありませんが、慣れない土地での移動には地図アプリが不可欠ですし、言語の壁を乗り越えるには翻訳アプリが役立ちます。これらのアプリもインターネット環境がなければ機能しません。
【SIMカード・Wi-Fi環境の選び方と準備】
- 現地SIMカード:ベトナムの主要な通信会社(Viettel, Mobifone, Vinaphoneなど)のSIMカードを現地空港や通信会社の店舗で購入するのが一般的です。データ通信量が豊富で、通話もできるプランが多く、比較的安価で利用できます。SIMフリーのスマートフォンが必要です。
- eSIM:最近注目されているのがeSIMです。物理的なSIMカードの入れ替えが不要で、事前にオンラインで購入・設定が完了します。現地到着後すぐにインターネットに接続できるため、非常に便利です。eSIM対応のスマートフォンが必要です。
- 海外用Wi-Fiルーター:複数のデバイスでインターネットを共有したい場合や、SIMフリーのスマートフォンを持っていない場合に便利です。日本で事前にレンタルし、空港で受け取ることができます。常に持ち運ぶ必要がある点や、充電の手間がかかる点がデメリットです。
- ホテルのWi-Fi:滞在中のホテルや一部のカフェ、レストランでは無料Wi-Fiが提供されています。しかし、セキュリティが脆弱な場合があるため、重要な情報の入力は避け、補助的な通信手段として利用しましょう。
旅行中に「支払いできない!」という事態を避けるためにも、出発前にご自身の旅行スタイルやスマートフォンの対応状況に合わせて、最適な通信手段を確保しておくことが、ベトナム旅行を成功させるための重要な第一歩です。
ATMやクレカとの併用が安心な理由とは?
ベトナム旅行を安全かつ快適に過ごすためには、支払い方法を多様化し、リスクを分散させることが非常に重要です。その点で、ATMでの現地通貨引き出しとクレジットカードの併用は、最も安心できる支払い戦略と言えます。
【ATMでの現地通貨引き出しのメリット】
- 必要な時に必要なだけ現金を入手:日本円を大量に持っていく必要がなく、現地で必要な分だけベトナムドンを引き出すことができます。これにより、多額の現金を一度に持ち歩くリスクを減らせます。
- 両替所を探す手間が省ける:都市部であれば、ATMは空港や銀行、コンビニエンスストアなど様々な場所に設置されています。両替所を探し回る手間が省け、時間を有効活用できます。
- 比較的良い為替レート:一般的に、ATMでの引き出しレートは、街中の両替所よりも良いか、同程度であることが多いです。ただし、カード会社やATM側の手数料が発生する場合があるので、事前に確認が必要です。
【クレジットカードを併用するメリット】
- 高額決済の安全性:ホテル宿泊費、高価なお土産、レストランでの食事など、高額な支払いの際にはクレジットカードが非常に有効です。現金を持ち歩くリスクを避けられ、万が一の不正利用時にもカード会社の補償が受けられます。
- 両替の手間削減:クレジットカードが使える場所では、現金の準備や両替の手間が省け、スマートに支払いが完了します。
- ポイントやマイルの獲得:クレジットカードの利用額に応じてポイントやマイルが貯まるため、旅行しながらお得に特典を得ることができます。
- 緊急時の予備資金:手持ちの現金がなくなった場合でも、クレジットカードがあればATMからキャッシング(現地通貨の引き出し)が可能です。これは、いざという時の非常に強力なバックアップとなります。
【併用時の注意点】
- ATM手数料: 現地のATM手数料(通常20,000~50,000VND程度)と、カード会社が定める海外ATM利用手数料、そして海外事務手数料が発生します。事前に利用するカード会社に確認しましょう。
- スキミング対策: ATMを利用する際は、不審な装置が取り付けられていないか、周囲に不審な人物がいないか注意しましょう。
- 利用限度額の確認: クレジットカードのキャッシング枠や利用限度額を事前に確認しておきましょう。
- 複数枚のカードを持参: 万が一、一枚のカードが使えなくなったり紛失したりした場合に備え、異なるブランド(Visa、Mastercardなど)のクレジットカードを複数枚持っていくと安心です。一部はホテルに預けるなどして分散保管するのも良いでしょう。
ATMでの現金引き出しとクレジットカードの併用は、ベトナム旅行における支払いの柔軟性と安全性を高めるための最適な戦略です。これにより、現金のみでは対応できない場面や、電子マネーの利用が難しい場所でも、安心して旅行を楽しむことができるでしょう。
ベトナム旅行 電子マネー活用のポイント10選【まとめ】
ベトナム旅行での電子マネー活用は、メリットも多いですが、日本の状況とは異なる点が多々あります。これまでの情報を踏まえ、ベトナム旅行で電子マネーを賢く、安全に活用するための10のポイントをまとめました。
- 日本の電子マネー(PayPay・LINE Pay)は基本的に使えないと心得ておく。
- Grabアプリは必ずダウンロードし、クレジットカードを登録しておく。 移動やフードデリバリーの支払いをスムーズにする上で非常に便利です。
- クレジットカードをメインの支払い手段として活用する。 大手店舗やホテル、レストランで広く利用でき、不正利用補償も充実しています。
- 必ずある程度のベトナムドン(VND)の現金を用意しておく。 屋台、市場、小規模店舗など、現金しか使えない場所はまだまだ多いです。
- 少額紙幣(1万ドン、2万ドンなど)を多めに準備しておく。 お釣りの問題や、少額決済で重宝します。
- ATMでのキャッシングも有効な手段として検討する。 必要な時に必要なだけ現金を引き出せ、両替の手間を省けます。
- 安定したインターネット環境を確保する(SIMカード、eSIM、Wi-Fiルーターなど)。 電子マネーやクレジットカード決済には必須です。
- 支払いトラブルに備え、クレジットカード会社の緊急連絡先を控えておく。 不正利用や紛失時に迅速に対応できます。
- 利用明細をこまめに確認し、身に覚えのない請求がないかチェックする。
- 支払い方法を複数用意し、リスクを分散させる。 クレジットカード、現金、そしてGrab Payなど、状況に応じて使い分けるのが最も賢明です。
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