ベトナム旅行 財布の選び方|盗難・スリ・落とし物のリアルな注意点とは?

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チャン

愛知県高浜市に住む30代のごく普通の会社員です。ベトナムのホーチミン郊外の出身ということもあり、ベトナムについてブログでまとめてみました。ベトナムに興味がある方に役立つ情報を発信するので、よろしくお願いします😉

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ベトナム旅行を計画中の皆さん、美しい景色や美味しい食事に心躍らせていることと思います。しかし、楽しい旅行を台無しにしないためにも、避けて通れないのが治安の問題です。特に財布の盗難や紛失は、旅行者にとって大きなストレスとなります。この記事では、ベトナムで財布が狙われやすい理由から、具体的な対策、そして万が一の時の対処法まで、プロのライターの視点から詳しく解説します。あなたのベトナム旅行が安全で快適なものになるよう、ぜひ最後までお読みください。

【この記事で分かること】

  • ベトナムで財布が狙われやすい理由と具体的なシーン
  • 日本人が陥りやすい財布の持ち方や行動パターン
  • 盗難・紛失時に現地でどう対応すべきか
  • ベトナム旅行に最適な財布の選び方と貴重品管理のコツ

ベトナム旅行で財布が狙われる?その理由とリスクを知っておこう

ベトナムは近年、急速な経済発展を遂げ、観光地としての魅力も増しています。しかし、その一方で、残念ながら観光客を狙った窃盗事件も少なくありません。特に、外国人観光客は多額の現金や高価な持ち物を持っていると見られやすく、スリや置き引きのターゲットになりがちです。ここでは、なぜベトナムで財布が狙われやすいのか、その背景と具体的なリスクについて深掘りしていきましょう。

ベトナム旅行中に財布を狙われやすいシーンとは?

ベトナムでの財布トラブルは、特定の場所や状況で発生しやすい傾向があります。観光客が多く集まる場所や、移動中など、注意が散漫になりがちな瞬間が狙われやすいのです。具体的には、市場での買い物中、カフェやレストランでの食事中、そして移動手段を利用している時などが挙げられます。特に、賑やかな場所では、人混みに紛れて犯行に及ぶケースが多いため、常に周囲への警戒が必要です。

観光地・市場・交通機関での財布トラブル事例

観光地、市場、交通機関は、ベトナム旅行中に最も財布のトラブルに遭いやすい場所です。

  • 観光地:有名な観光スポット、例えばホーチミンの統一会堂やハノイのホアンキエム湖周辺などは、多くの観光客で賑わいます。記念撮影に夢中になっている隙に、リュックのチャックが開けられたり、ポケットから財布を抜き取られたりするケースが報告されています。また、バイクタクシーの客引きに囲まれた際に、注意をそらされた隙に財布を盗まれるといった手口もあります。
  • 市場:ベンタイン市場やドンコイ市場などの活気ある市場では、人混みの中で身体が密着する機会が多くなります。この状況を利用して、スリ集団が連携してターゲットの財布を抜き取る事例が多発しています。特に、商品の値切り交渉に集中している時や、露店の商品に目を奪われている時などは、注意力が散漫になりがちなので要注意です。
  • 交通機関:バスや電車、タクシーなどの公共交通機関もまた、スリの温床となりやすい場所です。特に、混雑したバスの中では、カバンを足元に置いたまま居眠りしてしまい、その隙に財布を抜き取られるといった被害が報告されています。また、空港から市内への移動中に、白タクのような違法なタクシーに乗ってしまい、法外な料金を請求された挙句、財布から無理やり現金を奪われるといったケースもあります。バイクタクシー(Grab Bikeなど)を利用する際も、スマートフォンを操作中にひったくられる被害もゼロではありません。

これらの事例から分かるように、ベトナムでは観光客の隙を狙った手口が多いため、常に警戒心を持つことが何よりも重要です。

日本人旅行者が狙われやすい財布の持ち方と行動

日本人旅行者は、ベトナムにおいて特に狙われやすい傾向があります。その理由は、比較的裕福であると見なされること、そして特定の財布の持ち方や行動パターンが、犯人にとって好都合な状況を生み出してしまうためです。

まず、多くの日本人は、長財布をズボンの後ろポケットに入れる習慣があります。これは、スリ犯にとっては非常に狙いやすい持ち方です。後ろポケットの財布は、歩いている最中や人混みの中で、簡単に抜き取られてしまいます。また、女性の場合でも、ハンドバッグを肩にかけ、口が開いたままにしていたり、斜め掛けにしていても体の後ろ側にバッグが位置していると、被害に遭いやすくなります。高価なブランド品のバッグを堂々と持ち歩くことも、目をつけられる原因になり得ます。

次に、行動パターンについても注意が必要です。例えば、カフェやレストランで食事をする際、椅子の上に無造作にバッグを置いたり、隣の席に置いておくといった行為は非常に危険です。犯人は、一瞬の隙をついてバッグごと持ち去ったり、バッグの中から財布を抜き取ったりします。また、観光地で写真を撮ることに夢中になりすぎたり、スマートフォンを見ながら歩いている際に、周囲への警戒心が薄れることも、スリやひったくりのターゲットとなる要因です。

さらに、多額の現金を持ち歩く習慣も、日本人旅行者が狙われやすい理由の一つです。ベトナムでは、小額の買い物から高額な支払いまで、現金を使う機会が多いため、ついつい多めにお金を準備してしまいがちです。しかし、大量の紙幣を財布にパンパンに入れている姿は、周囲の目を引きやすく、狙われるリスクを高めます。ATMで現金を引き出す際も、周囲に人がいないか確認し、人前で多額の現金を見せないように注意が必要です。

これらの日本人特有の行動パターンや持ち物への意識が、残念ながらベトナムでの財布トラブルのリスクを高めています。安全な旅行のためには、これらの点を十分に理解し、意識的に行動を変えることが求められます。

スリ・置き引き犯の手口と財布が狙われる瞬間

スリや置き引き犯は、非常に巧妙な手口で観光客の財布を狙います。彼らは単独で行動するだけでなく、複数人で連携して犯行に及ぶことも少なくありません。手口を知っておくことで、未然に被害を防ぐことができる可能性が高まります。

スリの手口と狙われる瞬間:

  • ぶつかり屋: 観光客が多い場所で、わざとぶつかってきて、その混乱に乗じて財布を抜き取ります。グループの場合、一人がぶつかり、もう一人が財布を抜き取る、といった連携プレイを見せることもあります。
  • サイン攻め/物売り: 慈善活動を装ってサインを求めたり、しつこく物を売りつけたりして、注意をそらしている隙に財布を抜き取ります。特に観光客が集まる場所で頻繁に見られる手口です。
  • 集団による包囲: バスや電車などの混雑した場所で、複数人がターゲットを取り囲み、視界を遮りながら財布を抜き取ります。
  • 刃物による切り裂き: リュックサックやショルダーバッグの底をカッターナイフなどで切り裂き、中身を抜き取ります。特に、人混みの中で背中に背負っているリュックサックは狙われやすいです。
  • バイクによるひったくり: 歩道を歩いている際に、後ろからバイクで近づき、手持ちのバッグやスマートフォンをひったくります。特に、歩道側にバッグを持っている場合や、車道側でスマートフォンを操作している場合に注意が必要です。

置き引きの手口と狙われる瞬間:

  • カフェやレストランでの隙: カフェやレストランで、椅子の背もたれにバッグをかけたり、隣の椅子に置いたりしていると、犯人はそれを狙っています。一瞬目を離した隙に持ち去られてしまうケースが多いです。特に、テラス席など、通りに面した場所は危険度が増します。
  • 空港や駅での一時的な放置: 空港や駅のロビーで、荷物から目を離して両替やトイレに行っている間に、荷物ごと持ち去られることがあります。
  • 試着室での放置: ショッピング中に試着室に入る際、バッグを試着室の外に置いたままにしたり、試着室内のフックにかけずに床に置いたりすると、盗難のリスクが高まります。
  • ATMでの隙: ATMで現金を引き出す際に、横に置いていたバッグが持ち去られるケースや、引き出した現金を数えている隙にひったくられるケースもあります。

これらの手口は、いずれも観光客の「油断」を狙ったものです。少しでも怪しいと感じたら、すぐにその場を離れる、貴重品は常に肌身離さず持つ、といった意識を持つことが重要です。

財布紛失・盗難に遭った場合の現地での対応方法

万が一、ベトナムで財布を紛失したり盗難に遭ってしまったりした場合、冷静かつ迅速な対応が求められます。適切な手順を踏むことで、被害を最小限に抑え、その後の手続きもスムーズに進めることができます。

まず、現金やカードを盗まれたことに気づいたら、すぐに警察に届け出ることが重要です。 現地警察への届け出は、後の保険請求やクレジットカードの停止手続きに不可欠な「盗難届」や「紛失届」を発行してもらうために必要です。ベトナムでは英語が通じない警察官もいるため、可能であればベトナム語を話せるガイドや通訳に同行してもらうのがベストです。難しい場合は、スマートフォン翻訳アプリなどを活用しましょう。届け出の際には、いつ、どこで、何が、どのように盗まれたのかを具体的に説明できるように準備しておくと良いでしょう。盗難届の控えは必ず受け取り、大切に保管してください。

次に、クレジットカードやキャッシュカードの利用停止手続きを直ちに行いましょう。 カード会社によっては、24時間対応の緊急連絡先を設けている場合があります。事前にカード会社の連絡先を控えておくか、緊急連絡先をオンラインで確認できる状態にしておくと良いでしょう。カードが不正利用されることを防ぐため、一刻も早い連絡が肝心です。複数のカードを持っている場合は、すべてのカードについて停止手続きを行いましょう。また、海外旅行保険に加入している場合は、保険会社にも連絡し、今後の手続きについて指示を仰ぎます。保険会社によっては、盗難被害に関する書類の提出が求められることがありますので、警察で発行された盗難届の控えは必ず保管しておきましょう。

パスポートも一緒に盗難された場合は、さらに手続きが複雑になります。日本の大使館または総領事館に連絡し、旅券の再発行手続きを行う必要があります。 再発行には通常、数日を要するため、帰国便の変更が必要になる可能性も考慮に入れなければなりません。大使館では、旅券の盗難・紛失届の提出、写真の提出、手数料の支払いなどが求められます。

また、手元に現金がない場合は、日本から送金してもらう方法を検討します。国際送金サービス(例:Western Union, MoneyGramなど)を利用すれば、比較的迅速に現地で現金を受け取ることが可能です。家族や友人に連絡を取り、協力を依頼しましょう。

最後に、被害に遭ったショックは大きいと思いますが、できるだけ冷静に対応することが大切です。パニックにならず、一つずつ着実に手続きを進めていきましょう。

対応項目詳細
警察への届け出直ちに最寄りの警察署へ。盗難届(紛失届)を発行してもらい、控えを保管。英語が通じない場合は翻訳アプリや通訳を活用。
クレジットカード停止各カード会社の緊急連絡先に即座に連絡し、利用停止手続きを行う。不正利用防止のため一刻も早く。
保険会社への連絡海外旅行保険に加入している場合、保険会社に連絡し、今後の手続きや必要書類について確認。
大使館・総領事館への連絡パスポートも盗難された場合、日本の大使館または総領事館に連絡し、旅券の再発行手続きを行う。
現金の手配現金がない場合、国際送金サービス(Western Unionなど)を利用して日本から送金してもらう。家族や友人に協力を依頼。

参照元:外務省海外安全情報「滞在を予定・滞在している方へ(安全対策基礎データ)」

現地で財布をなくさないための基本的な行動ルール

ベトナムで財布の盗難や紛失を防ぐためには、意識的な行動と具体的な対策が不可欠です。基本的な行動ルールを徹底することで、リスクを大幅に減らすことができます。

1. 貴重品は分散して管理する

最も基本的なルールは、現金、クレジットカード、パスポートなどの貴重品を一つの場所にまとめて持ち歩かないことです。財布を盗まれた場合でも、すべての貴重品を失う事態を避けることができます。例えば、メインの財布にはその日使う分だけの現金と最小限のカードを入れ、残りの現金や予備のカード、パスポートのコピーなどは、ホテルのセーフティボックスに預けるか、分散して身につけるようにしましょう。

2. 財布は体の内側にしまう

ズボンの後ろポケットや、カバンの外側のポケットに財布を入れるのは絶対に避けましょう。スリ犯にとって格好のターゲットになります。財布は常に体の内側、例えば上着の内ポケットや、チャック付きのウエストポーチ、セキュリティポーチなどに入れて、外から見えないように保管するのが鉄則です。人混みの中では特に、バッグは体の前側に抱えるように持つことを意識しましょう。

3. 多額の現金を持ち歩かない

ベトナムでは現金を使う機会が多いとはいえ、一度に多額の現金を持ち歩くのは避けるべきです。必要な分だけを持ち歩き、足りなくなったらATMで引き出すようにしましょう。ATMを利用する際は、周囲に不審な人物がいないか確認し、利用後はすぐにその場を離れるなど、細心の注意を払ってください。

4. 公衆の面前で財布を開かない

人前で財布を開き、中身を他人に見せるような行為は、自分がどのくらい現金を持っているかを犯人に知らせるようなものです。支払いの際は、人目を避けるように注意し、手早く済ませましょう。特に、多額の紙幣を数えるような行為は厳禁です。

5. 置き引きに注意する

カフェやレストラン、空港のラウンジなどでは、バッグを椅子の上に置いたり、足元に置いたりする際には常に意識を向けてください。一瞬の隙を狙って持ち去られる危険性があります。バッグは必ず、身体の一部に触れるように持つか、膝の上に置くなど、常に意識が届く範囲に置いておきましょう。特に、テラス席など、人通りの多い場所では注意が必要です。

6. 不審者には近づかない

親しげに話しかけてくる人や、過度に接近してくる人には警戒しましょう。スリや詐欺のターゲットにされている可能性があります。何か困っているように見えても、安易に助けの手を差し伸べる前に、まずは周囲の状況を確認することが重要です。

これらの基本的なルールを守ることで、ベトナムでの財布トラブルのリスクを大幅に軽減し、安心して旅行を楽しむことができるでしょう。

ベトナム旅行では財布を持ち歩かないという選択肢もアリ?

近年、スマートフォン決済の普及により、財布を全く持ち歩かずに旅行するという選択肢も現実的になりつつあります。ベトナムにおいても、都市部を中心にキャッシュレス化が進んでおり、一部の店舗やサービスではスマホ決済が利用可能です。

例えば、Grab(グラブ)などの配車アプリでは、クレジットカードを登録しておけば、車内での現金払いの手間がなく、非常にスムーズに移動できます。また、一部のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、カフェなどでは、QRコード決済や電子マネーが導入されている場所もあります。これにより、小銭を用意する手間や、財布から現金を出すリスクを減らすことができます。

しかし、ベトナムのキャッシュレス化はまだ発展途上であり、日本のようにどこでもスマホ決済が利用できるわけではありません。特に、地方の小規模な店舗や屋台、市場などでは、依然として現金が主流です。また、インターネット接続が不安定な場所では、スマホ決済が利用できない可能性もあります。

そのため、「財布を全く持ち歩かない」という選択は、現状のベトナムではまだ現実的ではないと言えるでしょう。緊急時のために、ある程度の現金は常に持ち歩く必要があります。しかし、多額の現金を持ち歩くリスクを軽減するために、可能な限りスマホ決済を活用し、現金とキャッシュレスを併用する「ハイブリッド型」のスタイルが、最も安全で効率的な選択肢と言えるでしょう。

具体的には、

  • 日中の小額の買い物や屋台での食事など、現金が必要な場合に備えて、必要最低限の現金を入れたサブ財布を持ち歩く。
  • 大型のスーパーマーケットや百貨店、チェーン展開しているカフェなど、キャッシュレス決済に対応している可能性が高い場所では、スマホ決済を積極的に利用する。
  • 緊急時のために、クレジットカードを一枚、別の場所に保管しておく。

このように、状況に応じて現金を使い分け、スマホ決済を有効活用することで、財布の盗難リスクを減らしつつ、快適な旅行を楽しむことができます。ベトナム旅行を計画する際は、訪れる場所や利用する施設がどのような支払い方法に対応しているか、事前に調べておくことも重要です。


安心して旅行するために!おすすめの財布選びと事前準備

ベトナム旅行の安全性を高めるためには、財布選びから貴重品の管理方法、そして出発前の準備まで、入念に行うことが不可欠です。適切な対策を講じることで、盗難や紛失のリスクを大幅に軽減し、安心して旅を楽しむことができます。ここでは、具体的な財布の選び方や、貴重品を守るための賢い方法について詳しく解説します。

【以下で分かること】

  • ベトナム旅行に適した財布のタイプと選び方
  • 現金、カード、スマホの効率的な分散管理術
  • 財布以外で貴重品を守るための便利なグッズ
  • スマホ決済と財布を上手に併用するコツ

ベトナム旅行に最適な財布のタイプと特徴

ベトナム旅行において、安全性を考慮した最適な財布選びは非常に重要です。日常使いの財布をそのまま持っていくのではなく、旅行に適した機能や特徴を持つ財布を選ぶことで、盗難リスクを大幅に減らすことができます。

まず、最も重要なのは**「目立たない」**ことです。ブランドロゴが大きく入った高価な財布や、派手なデザインの財布は、犯罪者の標的になりやすいので避けましょう。シンプルで地味な色合いの、カジュアルな財布が望ましいです。素材も、革製よりはナイロン製やポリエステル製など、軽量で丈夫なものがおすすめです。

次に、**「コンパクトであること」**も重要なポイントです。ベトナムでは、高額紙幣でもかさばりやすいため、多くの現金を持ち歩くことは推奨されません。そのため、必要最低限の現金とカードが入る程度の、薄型で小さい財布が適しています。ズボンのポケットや上着の内ポケットにすっぽりと収まり、外から見て財布の形が浮き出ないものが理想的です。

また、**「セキュリティ機能」**が付いている財布も有効です。

  • ファスナー付きの財布: ボタンやホックだけの財布よりも、ファスナーでしっかりと口が閉まるタイプの財布の方が、中身が飛び出す心配が少なく、スリに遭いにくいです。
  • 首下げ・ウエストポーチタイプ: 服の下に隠せる首下げポーチや、薄型のウエストポーチは、貴重品を肌身離さず持ち歩くのに最適です。外からは見えないため、スリのターゲットになりにくいというメリットがあります。ただし、着脱が頻繁な場所では使いにくい場合もあります。
  • スキミング防止機能付き: 最近では、クレジットカードやパスポートなどの情報を不正に読み取る「スキミング」を防ぐRFID(Radio-Frequency Identification)ブロック機能が付いた財布もあります。空港や駅など、不特定多数の人が集まる場所では、スキミングのリスクも考慮に入れると安心です。

最後に、**「使い慣れていること」**も意外と大切な要素です。旅行中に慣れない財布を使うと、現金の出し入れに手間取ったり、どこに何を入れたか分からなくなったりして、注意力が散漫になる可能性があります。普段から使い慣れているタイプの財布で、上記の条件を満たすものを選ぶのが良いでしょう。

これらの特徴を兼ね備えた財布を選ぶことで、ベトナムでの財布トラブルのリスクを減らし、より安全で快適な旅行を楽しむことができるでしょう。

現金・カード・スマホの分散管理が基本

ベトナム旅行において、現金、クレジットカード、スマートフォンといった貴重品の分散管理は、万が一の盗難や紛失の際に被害を最小限に抑えるための鉄則です。すべての貴重品を一つの場所にまとめて持ち歩くのは、非常にリスクが高い行為と言えます。

具体的には、以下のように分散管理を実践しましょう。

1. 現金は複数に分ける

まず、持ち歩く現金は必要最低限に抑え、それをさらに数カ所に分けて保管します。

  • メインの財布: その日に使う予定の少額現金(日本円で数千円程度)と、主要なクレジットカード1枚のみを入れます。これは、万が一スリに遭った際に、犯人に渡してもダメージが少ないようにするためです。
  • サブの財布/隠しポケット: 予備の現金(少額の高額紙幣と少量の小額紙幣)や、予備のクレジットカード1枚、そしてパスポートのコピーなどを入れます。これは、服の内ポケット、セキュリティポーチ、ウエストポーチなど、肌身離さず隠して持ち歩ける場所に保管します。
  • ホテルのセーフティボックス: 多額の現金や、普段使いしないクレジットカード、パスポート本体(外出時はコピーを持参)は、ホテルのセーフティボックスに預けておきましょう。

2. クレジットカードは複数枚用意し分散する

クレジットカードは、予備を含めて2~3枚用意し、それぞれ異なる場所に保管します。

  • メインの財布に1枚。
  • サブの財布や隠しポケットに別の1枚。
  • ホテルのセーフティボックスにさらに別の1枚(または予備のキャッシュカードなど)。これにより、一枚が盗難・紛失しても、別のカードで対応できるため、旅行中の支払いに困る事態を避けられます。また、万が一の不正利用に備え、カード会社の緊急連絡先を控えておくことも忘れないでください。

3. スマートフォンと他の貴重品は離す

スマートフォンは、連絡手段や情報検索、地図アプリなど、旅行中に不可欠なツールですが、非常に高価なため、単独で狙われることもあります。

  • スマートフォンは、安易にポケットに入れたりせず、使用しない時はバッグの中や、できればチャック付きの内ポケットなどに収納しましょう。
  • スマートフォンと財布を同じ場所にまとめて入れるのは避けてください。ひったくりに遭った場合、スマートフォンだけでなく財布も同時に失ってしまうリスクが高まります。

4. パスポートはコピーを持ち歩く

パスポート本体は、原則としてホテルのセーフティボックスに保管し、外出時はコピー(顔写真のページとビザのページ)を持ち歩きましょう。万が一の紛失や盗難の際に、再発行手続きをスムーズに進める上で役立ちます。また、スマートフォンの写真データとして保存しておくのも良いでしょう。

これらの分散管理を徹底することで、たとえ財布が盗難に遭ったとしても、旅行を継続するための最低限の手段が確保され、精神的な負担も軽減されます。

財布は2つ持ちが安心?サブ財布の使い方

ベトナム旅行において、メインの財布とは別に「サブ財布」を持つことは、非常に有効な盗難対策の一つです。この「2つ持ち」という考え方は、万が一メインの財布が被害に遭った場合でも、残りの現金やカードで旅行を継続できるという、精神的な安心感と実用的なメリットをもたらします。

サブ財布の目的と使い方:

サブ財布の主な目的は、**「緊急時対応」「リスク分散」**です。メインの財布には、その日に使う予定の少額の現金(例えば、日本円で3,000円〜5,000円相当のベトナムドン)と、利用頻度の高いクレジットカード1枚だけを入れます。そして、サブ財布には、それ以外のまとまった現金、予備のクレジットカード、そしてパスポートのコピーなどを収納します。

サブ財布の具体的な持ち方:

  1. 隠せるタイプを選ぶ: サブ財布は、極力人目につかない、そして他人に気づかれにくい場所に身につけることが重要です。
    • セキュリティポーチ: 薄型で服の下に装着できるセキュリティポーチは、腹巻きのように腰に巻いたり、首から下げて服の下に隠したりできるため、最も安全性が高い選択肢の一つです。
    • 内ポケット付きの服: 上着やズボンにファスナー付きの内ポケットがある場合は、そこをサブ財布の定位置にするのも良いでしょう。
    • ジーンズの小さなポケット: ジーンズの前ポケットについている小さなポケットは、意外と知られていない隠し場所になります。
  2. 別々の場所に保管: メインの財布とは全く異なる場所にサブ財布を保管することが重要です。例えば、メインの財布をズボンの前ポケットに入れているなら、サブ財布はシャツの内ポケットやセキュリティポーチの中など、別の場所に入れるようにします。
  3. 普段は使わない: サブ財布は、あくまで緊急時の予備として扱い、通常は取り出さないようにしましょう。人前でサブ財布を開いたり、頻繁に触ったりすると、その存在がバレてしまう可能性があります。必要最低限の支払いはメインの財布で行い、サブ財布からは現金を補充する際や、緊急時にのみ取り出すように心がけます。

サブ財布に入れるものの一例:

  • 予備の現金: 数日分の滞在費として、ある程度のまとまったベトナムドン。
  • 予備のクレジットカード: メインのカードとは異なる種類のカード(VisaとMastercardなど)を一枚。
  • パスポートのコピー: 万が一、パスポート本体が盗難・紛失した場合に備えて。
  • 海外旅行保険の連絡先: 緊急時にすぐに連絡できるよう、保険会社の電話番号や契約者番号をメモした紙。

サブ財布を上手に活用することで、メインの財布が盗難に遭うという最悪のシナリオを回避し、旅の途中で現金やカードが全くなくなってしまうという事態を防ぐことができます。これは、ベトナムでの安全な旅行を実現するための非常に有効な戦略と言えるでしょう。

RFIDスキミング対策付き財布は必要か?

近年、クレジットカードやパスポートなどに搭載されているICチップの情報を、非接触で不正に読み取る「RFIDスキミング」という手口が問題視されています。これに対応するため、RFIDスキミング防止機能付きの財布やカードケースが販売されていますが、ベトナム旅行において、果たしてこれらの対策は本当に必要なのでしょうか。

結論から言うと、**「あればより安心だが、必須ではない」**というのが筆者の見解です。

RFIDスキミングの現状とリスク:

RFIDスキミングは、特殊な読み取り装置を使って、財布やバッグの中に入っているクレジットカードやパスポートのICチップから、氏名、カード番号、有効期限などの情報を抜き取る犯罪です。物理的に財布を盗む必要がないため、被害に気づきにくいという特徴があります。

しかし、RFIDスキミングが実際に広く行われているかについては、意見が分かれるところです。確かに技術的には可能であり、注意喚起もされていますが、ベトナムにおいてこの種の被害がどれほどの頻度で発生しているかを示す具体的なデータは少ないのが現状です。一般的なスリや置き引きに比べると、まだ件数は少ないと考えられます。

RFIDスキミング対策付き財布のメリットとデメリット:

  • メリット:
    • 万が一のRFIDスキミング被害からカード情報を保護できるという安心感。
    • 最近はデザイン性の高いものも多く、通常の財布として違和感なく使用できる。
  • デメリット:
    • 通常の財布よりも価格が高い傾向がある。
    • スキミング防止機能がない財布に比べ、選択肢が限られる。
    • 過度な心配から旅行の楽しみが減ってしまう可能性。

ベトナム旅行での現実的な対策:

RFIDスキミング対策も有効ではありますが、ベトナムでより現実的かつ効果的なのは、やはり**「物理的な盗難・紛失対策」**を徹底することです。

  • 多額の現金やクレジットカードを一つの場所にまとめない(分散管理)。
  • 財布は人目につかない場所にしまう。
  • 混雑した場所では特に警戒し、貴重品から目を離さない。
  • 不要なカードは持ち歩かない。

これらの対策は、RFIDスキミングのリスクだけでなく、一般的なスリや置き引き、ひったくりといったより頻繁に発生する犯罪から身を守る上で、非常に有効です。

もし、あなたがRFIDスキミングのリスクを心配し、心理的な安心感を重視するのであれば、対策付きの財布を選ぶのは良い選択です。しかし、それが旅行の準備において最も優先すべき事項かと言えば、そうではありません。まずは基本的な物理的防犯対策を徹底し、その上で余裕があればRFIDスキミング対策も考慮に入れる、という順序で考えるのが賢明でしょう。

参照元:JCB「スキミングの手口と防止対策」

財布以外で貴重品を守る便利グッズとは?

ベトナム旅行で財布の盗難リスクを減らすためには、財布自体の工夫だけでなく、財布以外の便利グッズを活用することも非常に有効です。これらのグッズを賢く使うことで、貴重品をより安全に管理し、旅行中の心配事を減らすことができます。

1. セキュリティポーチ/マネーベルト

これは、旅行者の間で最も一般的な貴重品保護グッズです。薄型で服の下に装着できるため、外からは全く見えません。パスポート、予備の現金、クレジットカード、航空券の控えなど、本当に重要なものを入れるのに最適です。腰に巻くタイプや、首から下げるタイプなど、様々な形状があります。肌に密着させるため、蒸れにくい素材や、肌触りの良いものを選ぶと快適です。

2. 隠しポケット付き衣類

最近では、ジャケットやベスト、パンツなどに、ファスナー付きの隠しポケットが巧妙に設けられた旅行用の衣類も販売されています。これにより、財布やスマートフォンを通常のポケットよりも安全に収納できます。見た目は普通の服と変わらないため、いかにも「貴重品を隠しています」という印象を与えません。

3. ワイヤーロック/TSAロック

ホテルの部屋に貴重品を置いておく際や、移動中に大型のバッグを預ける際に役立ちます。スーツケースやリュックサックのファスナー部分に施錠することで、簡単に開けられるのを防ぎます。特に、ホステルのドミトリーなど共同部屋を利用する際は、ロッカーに私物を収納し、ワイヤーロックで固定することが推奨されます。

4. 防水ポーチ/ドライバッグ

ベトナムでは、突然のスコールや、水辺でのアクティビティ中に、貴重品が濡れてしまうリスクがあります。スマートフォンや電子マネー、パスポートなどを防水ポーチに入れておけば、水濡れによる故障や破損を防ぐことができます。

5. ダミーウォレット/おとり財布

これは少し大胆なアイデアですが、万が一ひったくりなどに遭遇した場合に備え、中身がほとんど入っていないダミーの財布(少額の現金と不要なカード数枚)を敢えて見せやすい場所に持っておくという方法です。本命の財布はセキュリティポーチなどに隠しておき、万が一の際にはこのダミーウォレットを渡すことで、本体の被害を防げる可能性があります。ただし、状況によっては危険を伴うため、使用には十分な注意が必要です。

6. スマートフォン落下防止グッズ

ベトナムでは、バイクに乗っている際のスマートフォンのひったくりも報告されています。首掛けストラップやフィンガーストラップなどを使用し、スマートフォンをしっかりと保持することで、落下やひったくりのリスクを減らすことができます。特に、移動中に地図アプリなどを見る際には、片手で操作しながらもう片方の手でしっかりと持つようにしましょう。

これらの便利グッズをうまく組み合わせることで、あなたの貴重品はより強固に保護され、ベトナムでの旅行をより安心して楽しむことができるでしょう。

スマホ決済・キャッシュレスと財布の併用術【まとめ】

ベトナム旅行における財布の安全対策は、現金に頼りすぎず、スマートフォン決済やキャッシュレス決済を賢く併用することが、これからのスタンダードと言えるでしょう。完全に財布を持たないのはまだ難しいかもしれませんが、これらを組み合わせることで、盗難リスクを減らし、より快適でスマートな旅が実現できます。

スマホ決済・キャッシュレスと財布の賢い併用術:

  • メインの支払いはできる限りキャッシュレスで:
    • ホテル、大手スーパー、有名レストラン、ショッピングモール、Grabなどの配車サービスでは、クレジットカードやデビットカード、またはスマートフォン決済(QRコード決済など)の利用を優先しましょう。これにより、多額の現金を持ち歩く必要がなくなります。
    • 渡航前に、利用予定のクレジットカードが海外で使えるか、また利用限度額を確認しておきましょう。
    • Google PayやApple Payにカードを登録しておけば、財布を取り出す手間も省け、よりスムーズに決済できます。
  • 現金は必要最低限に:
    • 市場の屋台、小規模なローカルレストラン、個人商店、チップの支払いなど、キャッシュレス決済が普及していない場所のために、常に必要最低限の現金(小額紙幣中心)をメインの財布に入れて持ち歩きましょう。
    • 現金の補充は、ホテルのセーフティボックスに保管している予備の現金から行うか、人目の少ない場所にあるATMを利用しましょう。
  • 2つの財布を使いこなす:
    • メインの財布にはその日使う分の現金とカード一枚のみ。
    • サブの財布(セキュリティポーチなど)には、予備の現金、別のクレジットカード、パスポートのコピー、海外旅行保険の連絡先などを入れて肌身離さず持ち歩きましょう。
  • 緊急時の手段を確保:
    • 万が一、すべての財布やスマホが盗難・紛失した場合に備え、家族や友人に連絡を取り、国際送金サービス(Western Unionなど)で現金を受け取れるよう、事前に手配方法を確認しておきましょう。
    • 主要なクレジットカードの緊急連絡先は、スマホとは別のメモに控えておくか、クラウドサービスに保存し、いつでもアクセスできるようにしておきましょう。
  • 現地のキャッシュレス事情を把握する:
    • 旅行前に、訪問予定の地域や店舗のキャッシュレス対応状況を調べておきましょう。ベトナムの都市部ではGrabPayやZaloPayなどのローカル決済サービスも普及していますが、旅行者が利用するには現地の銀行口座が必要な場合が多いです。まずは国際ブランドのクレジットカードを軸に考えましょう。

【まとめ】

  • ベトナムで財布が狙われる理由は、日本人観光客が裕福に見られ、無警戒な行動をしやすいから。
  • 観光地、市場、交通機関は特に注意が必要な場所。
  • 多額の現金を持ち歩かない、財布を体の内側にしまうなど、基本的な行動ルールを守る。
  • 万が一盗難・紛失した場合は、警察への届け出、カード停止、大使館への連絡を速やかに行う。
  • セキュリティポーチや隠しポケット付き衣類など、便利グッズを活用して貴重品を保護する。
  • 現金とクレジットカード、スマホ決済を分散・併用することでリスクを軽減する。
  • メインの財布には必要最低限の現金とカード、サブの財布には予備の貴重品を入れる「2つ持ち」が有効。
  • RFIDスキミング対策は安心材料となるが、物理的な防犯対策の徹底がより重要。
  • 常に周囲に目を配り、不審な人物や状況には近づかない。
  • 旅行保険に加入し、緊急連絡先を控えておくなど、事前の準備を怠らない。

ベトナム旅行を安全に楽しむために、これらのポイントをぜひ参考にしてください。準備をしっかり行えば、きっと素晴らしい思い出ができるはずです。

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